受け口にお悩みを抱える人のなかには、どのように矯正すればよいのか検討している人も多いでしょう。受け口は、さまざまなトラブルや不便を引き起こす恐れがあるため、矯正をおすすめされることは多いかもしれません。
年齢によって、受け口を矯正する方法は大きく異なります。安全に矯正する方法とあわせて、受け口になってしまう原因や、受け口にみられる特徴も紹介しますので、ぜひ参考としてお役立てください。
受け口の原因
受け口となるには、あらゆる原因が考えられます。遺伝によるものと考える人は多いかもしれませんが、遺伝以外にも理由はあります。受け口となる原因を知り、普段の生活から気をつけることも大切です。自分自身の治せる癖があれば、意識をして矯正する努力をしていきましょう。
遺伝によるもの
受け口の特徴は「下顎が大きい」もしくは「上顎が小さい」ということです。受け口は骨格的な特徴が大きいため、遺伝で受け口となるケースはとても多い傾向があります。
自分自身の両親が受け口の特徴をもっていれば、遺伝の可能性が高いでしょう。両親のうちどちらかが受け口であれば、子どもに遺伝する確率はぐっと上がります。
前歯の位置
前歯の位置が大きく関係しているのも、受け口ならではです。たとえば前歯が生えてくるとき、下の歯が外側に傾いて生えていると受け口になりやすくなります。同じように、上の前歯が内側に傾いていても受け口になりやすくなり、治療を検討する人も多くなるでしょう。
前歯の位置に問題があると、上の前歯よりも下の前歯が出た状態になるため、噛み合わせが悪くなります。前歯の位置に問題があると噛み合わせにも影響し、ほとんどは受け口と判断されることになります。
口呼吸
口呼吸の人も、受け口になりやすい傾向があります。口呼吸をしている人は下顎を前に出して呼吸をしているので、おのずと受け口になってしまう恐れがあるでしょう。
下顎が前に出てしまうのは、気道が必要以上に広がってしまうことも原因です。口呼吸は体内に酸素を取り込む量が、鼻呼吸よりも少なくなります。
そのため、十分な酸素を体内に取り入れるためにも、下を押し下げて気道が圧迫されてしまうのです。下顎が前に飛び出る受け口となるタイプは、圧迫された気道を広げようとするからといえます。
舌小帯が短い
受け口は、舌の短さも影響しています。舌が短いと上顎が成長できず、上顎に力を十分に入れられません。そもそも舌は上顎を押し上げるような位置が正しく、適切な位置に舌がなければ受け口になる確率は高まります。
上顎が十分に成長するには、舌が正しく位置されていなければなりません。大きく下顎が突出してしまう傾向が強いのは、舌が適切な位置にないからです。上顎が小さくなるようなポイントがあれば、受け口になる可能性は高くなることを覚えておきましょう。
悪癖
自分自身の癖が受け口をつくっていることもあります。癖によって下の歯が前に飛び出てしまったり、下顎が成長しすぎてしまったりすると、受け口になりやすくなります。受け口をつくりやすくする癖は、たとえば下の歯を舌で前に押し出そうとするものです。
さらに、3歳を過ぎても指しゃぶりをしている子どもは、受け口になりやすいので注意してください。受け口を予防するには、子どもの頃から癖を直していくことが必要かもしれません。
受け口によくある特徴
受け口の人には、いくつか特徴があります。受け口を矯正せずにいると、思わぬトラブルを引き起こす恐れがあるため、早めの対処が必要です。「顎関節症だ」「食事しづらい」というお悩みがある場合は、受け口が原因になっているかもしれません。
顎関節症になりやすい
受け口の人は、顎関節症になりやすい傾向があります。顎関節症とは、顎がずれてしまう症状です。受け口になると、たとえば食事をしているときは顎関節に負担がかかりやすくなるため、どうしても顎関節症のリスクが高まってしまいます。
上顎と下顎の大きさが合っていないので、咀嚼をしていると顎をずらしながら噛むことになります。結果、顎関節に大きな負担となるのです。
食事がしにくい
食事がしにくいのも、受け口の特徴です。受け口の人は前歯でものを噛みきりにくくなるため、食事のときにストレスを抱える傾向があります。上下で前歯の噛み合わせが逆になっていることが原因となり、奥歯にも負担がかかります。
そのため、矯正をせずに年齢を重ねてしまうと「奥歯がなくなっている」というトラブルが引き起こされるのも事実です。
咀嚼機能が低下する
食事の際にストレスが多い受け口の人は、噛み合わせが悪いことを自覚しているかもしれません。噛み合わせが悪くなってしまうと咀嚼機能が低下するため、食べ物を噛むときに大きな負担がかかります。
顎にも余計な力が加わるので、顎関節症の原因になることもあります。受け口を矯正すれば、食べ物をより食べやすくなるはずです。
成長とともに目立ってくる
受け口の人は、なるべく早いうちから矯正することをおすすめします。すでに子どもで受け口の特徴がある場合は、子どものうちから矯正しておくとよいです。受け口は成長するにつれ、目立ってきます。
思春期で下顎の骨が大幅に成長するため、受け口は成長すればするほど主張されていきます。矯正が遅くなると外科治療をする必要も出てくるので、早い段階で矯正しましょう。
受け口の矯正方法
受け口の矯正方法は、年齢によって異なります。子どもの場合と大人の場合では、矯正方法や考え方も異なるので注意が必要です。それぞれどのような矯正方法があるのか、詳しくチェックしていきましょう。
子どもの場合
子どもが受け口を矯正する場合、病院によって診断が分かれることがあります。子どものケースでは治療をせずとも受け口が改善される可能性もあり、治療に慎重になる医師も多いです。「前歯が永久歯になる6歳までは様子をみる」といった診断をする病院もあるのも事実です。
また、子どもの早い時期から矯正をしたとしても、成長するにつれ受け口になることもあります。そのため「成長がとまる18歳まで経過観察」という診断をする病院もあるのです。子どものうちに受け口の矯正治療をする場合に使うのは、固定式もしくは取り外し式の装置です。
成長に応じて上顎と下顎のバランスを整えつつ治療していくので、骨格的なバランスも整えられるでしょう。子どもの矯正治療のケースでは、診断内容に納得のいく病院を選ぶのが大切です。
大人の場合
大人の場合は、ワイヤーを使った矯正治療を行います。上顎歯列をワイヤーで前に出すことで下顎を後ろに下げることから、場合によっては抜歯することになるかもしれません。大人の受け口を矯正するときは、子どもの矯正治療をするよりも大変です。
もし、矯正治療だけでは効果がみられなかった場合、外科矯正治療となります。また「下顎を下げたい」などの骨格的なバランスをとりたい場合も、外科矯正治療が適用されます。 外科矯正治療を選択すると、下顎の骨切りが必要になるので「下顎骨切り術」が行われるのが一般的です。セットバック法とも呼ばれており、下顎の骨を切り後方へスライドさせることで、顎のアンバランスさをなくしています。
外科手術なしで治療したケースは、2年半の期間がかかった例もあります。外科治療が必要かどうかは病院に相談してみなければわからないので、気になる人はなるべく早めに相談してみてください。
まとめ
受け口の矯正方法は、子どもと大人ではまったく異なります。矯正治療といっても、年齢によって治療のアプローチや考え方がかなり違うので、病院への相談が不可欠です。
子どもで矯正治療をする場合は、まず信頼のできる病院探しから始めてください。病院によって、子どもの受け口の治療方法はかなり異なります。子どもの場合は成長するにつれて受け口が改善される可能性もあることは、覚えておいてください。
納得のいく診断や、理解のできる診断をする病院を探し、治療して受け口を改善していくことが大切です。受け口を矯正する大人は、基本的にワイヤーでの治療となります。場合によっては外科治療になることもあるので、病院とよく相談することをおすすめします。