外科矯正の治療を受けて後悔したというケースは、外科矯正について、よく知らないまま治療を始めてしまったことが原因になっている場合があります。
外科矯正は一般的な歯科矯正と異なり、あごの外科手術をともなう矯正治療です。外科矯正について正しい知識を身につければ、治療に対する不安を減らせるでしょう。
この記事では、外科矯正の対象になる症状や外科矯正のメリット、外科矯正で後悔しやすいシーンについて解説したうえで、外科矯正で後悔しないためのコツをお伝えします。
外科矯正とは
外科矯正は、歯の矯正とあごの外科手術を併用して行う治療方法です。通常の歯科矯正では、矯正器具を使用して歯を少しずつ移動させ、歯の噛み合わせを改善します。
しかし、あごの骨が歪んでいる、位置に異常あるなどのケースでは、歯科矯正だけでは治療ができないため、あごの骨を外科手術でずらしたり、削ったりする治療が必要になります。
外科矯正が必要な症状
外科矯正の対象になるのは、あごの大きさや位置に異常が見られる「顎変形症」という症状があるケースです。具体的には、あごが左右対称ではない、下あごが前に出過ぎている、下あごが小さすぎるといった状態を指します。
また、歯並びや噛み合わせが悪い、発音がしにくいなどの症状も治療の対象です。
外科矯正のメリット
外科矯正をすると、あごの骨格のずれを改善できるため、歯の矯正だけでは治療が難しい場合でも、歯並びや噛み合わせを治療できます。無理に歯や歯茎を動かすことがないため、歯周組織へのダメージも少なく済むでしょう。
歯並びや歯の嚙み合わせを改善することには、虫歯の予防や歯周病になるのを防ぐ効果もあります。また、顎の骨格を適切な状態に治療すると、顎のずれによって生じたフェイスラインの歪みも整えられるというメリットがあります。
歯並びが悪いために、人前で笑うのをためらってしまう人やあごの形が気になる人にとって、口元や輪郭の改善は、自分の外見に自信を持つきっかけになるでしょう。
一般的な歯科矯正は、保険適用外になるケースが多いですが、顎変形症と診断されて外科矯正を受ける場合は保険が適用されます。費用が高額になるのではないかという不安がある人にもおすすめです。
外科矯正で後悔するパターン例
外科矯正についてよく知らずに治療を始めてしまうと、イメージと違って後悔するケースがあります。外科矯正の治療では、どのようなシーンで後悔しやすいのでしょうか。
外科矯正の治療中に起こりやすいトラブルについて、5つのパターンを紹介します。
痛みや感覚麻痺が生じた
外科矯正の手術では、あごの骨を切除したり移動させたりするため、処置後の患部に痛みを感じることがあります。また、知覚麻痺が生じて、口の周りに痺れが残ってしまう場合もあり、注意が必要です。
多くの場合は自然に治りますが、痺れが術後1か月～1年くらい続くこともあるでしょう。
合併症が起きた
外科矯正の手術は全身麻酔で行われるため、合併症のリスクがあります。全身麻酔の合併症で起こりやすいのは悪寒や吐き気です。全身麻酔に使われる薬剤で、アレルギー反応が起こるケースもあります。
また、手術中に付ける人工呼吸器で喉に痛みを感じたり、歯や唇を傷つけてしまったりする場合もあるでしょう。ただし合併症には個人差があり、必ずしも起こるとは限りません。
治療期間の長さや違和感が苦痛だった
外科矯正での治療は、術前矯正からスタートして外科手術を行い、術後矯正が完了するまでに、トータルして2〜3年かかる歯科医院もあります。短期間で治療の効果を得たい人にとっては、完治するまでの期間が長すぎて、治療が辛いと感じるでしょう。
さらに、歯科矯正の治療で付ける装置を使い始めた当初は、口の中に違和感を覚えやすく、歯が痛くなったり、唇に当たるのが気になったりするケースも多いです。
術後に関しては、あごの位置が正常になったことによって、歯とあごの距離感が変わり、口腔内に違和感が出てしまうでしょう。
食事や歯磨きがしにくくなった
術前矯正のために矯正装置を付けると、歯磨きがしづらくなって磨き残しが多くなり、虫歯になってしまう人もいます。
虫歯だけでなく歯周病のリスクも高くなるので、歯科矯正を受けているときは、丁寧に歯磨きをする必要がありますが、歯磨きに時間をかけたくない人にとっては面倒に感じるでしょう。
それに加えて、矯正用マウスピースを食事のたびに付け外しする手間や、金具付きの装置に食べ物が挟まることもストレスの原因になります。
顔の変化が納得できなかった
外科矯正の手術であごの形や位置を調整すると、顔の輪郭や顔立ちが変わることがあります。
全体的なバランスが取れたり、小顔になったりするというポジティブな効果が期待できますが、術後の仕上がりに期待を持ちすぎると、イメージと違ってがっかりしてしまう可能性もあるでしょう。
外科矯正であごと歯並びが適切な状態になったことにより、見た目が大きく変化して、術後の外見が今までの自分と変わり過ぎてなかなか受け入れられないという人も一部います。
外科矯正で後悔しないための対策
外科矯正の治療を受けようと検討している人は、治療で後悔しないように、外科矯正についての適切な知識を身につけておきましょう。 外科矯正を始める前に押さえておきたいポイントを3つ解説します。
外科矯正の流れを把握する
外科矯正は、治療完了までのステップをひとつずつクリアして、ようやく完治となります。治療の流れをよく理解して臨むと、イメージとのギャップが少なくなるでしょう。
まずは問診や検査を受け、場合によっては術前矯正をしてから外科手術となります。手術をしたあとも治療は続き、術後矯正で微調整をして歯並びや噛み合わせを安定させる必要があります。
術前矯正の必要がないと診断されれば、外科手術と術後矯正のみで治療を進めることも可能です。
十分に相談できる歯科医院を選ぶ
外科矯正については、通常の歯科矯正と比べて難しい部分が多く、治療に不安を感じる人もいるでしょう。 外科矯正をする歯科医院を選ぶときは、治療の方針について分かりやすく説明してくれるかどうか、患者の意見をしっかり聞いてくれるかどうかという点もチェックポイントです。
また、治療が長引くのは避けたいと思っている人には、短期間の治療を提案してくれる歯科医院もあります。 後悔しないよう、疑問に思ったことや不安に感じたことを、気兼ねなく相談できる歯科医院を探してみましょう。
高度な矯正技術を持った歯科医院を選ぶ
外科矯正の手術は、難易度が高いといわれています。その理由のひとつは、神経が集中しているあごを動かすには、繊細な技術が求められるという点です。
さらに、術後のあごや歯の位置、噛み合わせなどを細かく計算して執刀しなければなりません。そのため、外科矯正を受けるなら高い技術力と、経験を持った医師がいる歯科医院を選ぶことをおすすめします。
まとめ
外科矯正で後悔しないためには、信頼できる歯科医院を見つけることが大切です。外科矯正では、歯科矯正と外科手術を組み合わせて治療を行いますが、あごや歯の状態は一人ひとり異なるため、正確な施術が必要です。
そのため、外科矯正の治療を受けるなら、専門的な知識と豊富な経験を備えた医師がいる歯科医院を選ぶとよいでしょう。 歯科矯正は主に、歯並びや噛み合わせを正常にすることを目的としていますが、外科矯正には顔全体のバランスを整える効果もあります。精密で高度な外科矯正の技術を持った歯科医院なら、フェイスラインの美しさにこだわった治療も可能です。
できるだけ治療期間を短くしたいと希望する人には、術前矯正なしで外科手術を受けられる治療法もあります。
外科矯正の治療プランについて詳しく知りたい人は、歯科医院に資料請求や問い合わせをしてカウンセリングを受けてみることをおすすめします。
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