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2022.08.22

外科矯正におけるリスクとメリットを解説

 

 

顎変形症や一般的な矯正治療では歯の嚙み合わせが治らない場合、外科矯正での治療が必要となります。しかし、外科矯正は外科手術を併用する矯正治療となり、メリットだけでなくデメリットもあります。

歯の健康を保つには、歯の噛み合わせが正常なことが望ましいです。歯列矯正だけでは治療の効果が得られず悩んでいるという方は、まずは外科矯正について正しく理解し、適切な治療を検討してみましょう。

 

外科矯正のリスク

 

ブラケットの装着やマウスピースによる歯列矯正で解決しない場合、問題を根本から解決するために外科矯正を検討する必要があります。

外科矯正とは、外科手術を活用した矯正治療法です。外科矯正することで骨格に問題がある歯並びの改善に期待ができますが、外科矯正には少なからずリスクもあります。

そのため、外科矯正を検討する際はどのようなリスクがあるのかをきちんと把握しておくことが大切です。

 

【1】全身麻酔による合併症

外科矯正は外科手術となるため全身麻酔下で実施されますが、全身麻酔には合併症のリスクがともないます。

合併症として比較的多い症状は吐き気や悪寒で、人工呼吸器を装着することで喉の痛みや唇、歯牙の損傷などが起こる場合もあります。また、全身麻酔の薬剤に対してアレルギー反応が出た場合には、発疹やせきが出ることもあります。

現在では全身麻酔の安全性は医療の進歩により向上しており、これらの症状がすべての人に必ず出るというわけではありません。しかしながら、全身麻酔による合併症の発症や重症度は、個人差が大きいことを理解しておきましょう。

 

【2】治療による知覚麻痺

骨格的な問題が大きい場合、土台となる骨を動かして噛み合わせを改善するために外科手術します。

その際に、下顎の損傷により退院した後でも、知覚麻痺が残る可能性があります。知覚麻痺とは感覚神経に障害が生じることで、主な症状は下顎の知覚麻痺では痺れや麻痺、口が開かないといったものです。

ただし、知覚麻痺として軽い痺れや麻痺が現れた場合でも、時間の経過とともに自然に治ることもあります。

 

【3】口唇や喉などへの違和感

矯正治療で用いられるブラケットなどの矯正装置は唇や頬に当たりやすいため、口内炎の発症や喉の違和感を覚えることがあります。また、人によっては歯の痛みが出るかもしれません。

矯正装置が原因となる口腔内の違和感は個人差が大きいですが、時間の経過とともに慣れる方も多いです。

 

【4】虫歯や歯周病

矯正装置を装着すると歯磨きがしにくくなり、十分なケアができないことで虫歯や歯肉炎、歯周病などのリスクが高まります。

通常の歯ブラシで磨き残しがある場合は、ワンタフトブラシやフロスで予防効果を高められるでしょう。また、矯正治療中は歯科衛生士による予防処置やブラッシング指導なども受けつつ、虫歯や歯周病予防に努めましょう。

 

 

外科矯正のメリット

 

外科矯正を検討する際は知っておくべきリスクがある一方で、通常の矯正治療では効果が得られない方にとってはメリットも多くあります。具体的なメリットとしては、以下のことが挙げられます。

 

【1】治療困難な歯列にも対応できる

顎が左右非対称で口元が歪んでいる、下顎が出ていて受け口になっているなど、骨格に問題を抱えている場合、歯列矯正だけでは効果を得にくいでしょう。

しかし、このような治療が困難なケースでも、外科矯正なら外科手術にて顎の骨を適切な位置に調整したうえで歯列矯正すれば、歯の噛み合わせや歯並びを改善できます。

 

【2】歯周組織に負担をかけず治療できる

骨格に大きなずれがある状態で矯正治療すると、歯や歯茎などの歯周組織に負担をかけてしまいます。

しかし、外科矯正では口腔外科医の執刀のもと、高度な外科手術で顎の骨と歯周組織との位置関係を調整しながら治療するため、歯周組織への負担をかけずに治療を進めることが可能です。

骨格的な問題による不正咬合が改善されると噛む力のバランスも整うため、部分的な噛みしめなどによる歯茎への負担を軽減できるでしょう。

 

【3】保険が適用される

一般的に矯正歯科治療は保険適用外となることが多いですが、外科手術を要する外科矯正は保険適用となるため、治療にかかる費用負担は少なめです。

外科矯正が必要となる症状の多くは顎変形症で、顎変形症の治療は外科処置だけでなく歯科矯正においても保険適用となります。また、先天疾患による咬合異常と診断された場合の矯正治療においても、外科手術と矯正歯科治療どちらも保険適用が可能です。

 

【4】顔の輪郭を改善できる

一般的な矯正治療では歯並びだけの改善にとどまりますが、外科矯正は骨格そのものを改善するため、口元の歪みなどに対する輪郭の悩みも改善されます。

生まれつき顎の骨格が大きくずれていることで受け口や出っ歯などが気になるという方も、外科矯正することで輪郭に大きな変化を感じられるでしょう。

 

【5】健康面や精神面を改善できる

歯の噛み合わせが悪いと頭痛や肩こりなどの体調不良を招くうえ、歯が磨きにくくなるため、虫歯や歯周病のリスクも高まってしまいます。

また、歯並びに対するコンプレックスから歯を見せて笑えず、精神的に辛い思いを抱えてしまう方も少なくありません。しかし、外科矯正によってこれらの健康面や精神面の不調は大きく改善できます。

 

 

外科矯正したほうがよい症例

 

外科矯正が必要となる症状は、一般的な矯正治療では根本的な改善が難しく、放置していると健康へのリスクが高くなります。 もしも外科矯正が必要な症状がある場合には、歯科医師とよく相談をし、精密検査をしたうえで外科矯正を検討しましょう。

 

【1】顎の骨に異常がある顎変形症

顎の骨の形や大きさに異常があり、噛み合わせが大きくずれるなどの症状がある顎変形症は、一般的な歯列矯正では治療が困難なケースがほとんどです。

その場合、外科矯正が必要となります。顎変形症の正確な診断は専門医に委ねる必要がありますが、上顎や下顎の骨が大きくずれている、両方の骨に異常があり歪みなどの症状がある場合には、顎変形症の可能性があると考えておきましょう。

 

【2】歯並びや噛み合わせの状態が良くない不正咬合

下顎の骨が大きく発達していることで下の歯が上の歯よりも前に飛び出している、 顎の骨が小さいことで上手に噛めないなど、歯並びや噛み合わせの状態が良くない不正咬合も外科矯正の対象となります。

また、ダウン症や唇顎口蓋裂、鎖骨・頭蓋骨異形成、トリチャーコリンズ症候群などの先天疾患に起因した不正咬合においても、外科矯正の治療が必要です。

国が定める先天疾患に起因した不正咬合の保険適用範囲は、2022年4月法改定時で61の疾患が認められています。

 

【まとめ】

 

顎の骨に異常がある顎変形症をはじめ、一般的な歯列矯正では治療が困難な症状においては、外科矯正を検討する必要があります。

難易度の高い外科矯正は当然ながらリスクは少なからずあるものの、骨格の問題から十分な矯正治療が受けられないという方にとってはメリットが多くある治療法といえます。

外科矯正にあたっては専門医師から詳しく説明を受けて、入院の期間や副作用として想定される症状などをきちんと理解することが大切です。

外科矯正のリスクとメリットを正しく把握しておけば、必要以上に不安がることもありません。慎重に検討を重ね、後悔のないよう信頼できる医師のもとで矯正治療を行いましょう。

 

すべての診療は予約制となっております。

矯正歯科治療はただ歯をきれいに並べることではなく、顔貌のバランスも考慮しながら正しい咬み合わせを作る歯科治療です。
患者さまの症状やご希望に合わせて様々な治療プランをご提案いたします。
まずはカウンセリングでご相談ください。

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