歯並びをよくするのは見た目だけでなく、身体の健康にもよいことです。歯を矯正するタイミングは全ての歯が永久歯になっている中学生からが適しています。
小学生でも全ての歯が永久歯になっているケースもありますが、乳歯が残っている場合も少なくありません。また歯の矯正治療は自由診療となり、健康保険の適用外となってしまいます。
そこで今回は、矯正歯科で中学生が治療する場合の費用や注意点について詳しく解説します。
1:矯正歯科で中学生が治療する場合の費用
矯正治療は自由診療となるため健康保険が適用されません。したがって治療費は高額となるので、費用を聞いて矯正治療をためらうこともあります。
自由診療であるために、矯正歯科によって治療費に違いがありますが、ここでは矯正歯科で中学生が治療する場合の一般的な費用について解説します。
治療開始前
矯正歯科では治療開始前にさまざまな準備が必要となり、その費用としては約55,000円が目安となっています。
具体的な準備内容として、初診相談にて治療方針や治療期間、費用等について説明を受けます。治療方針や内容に問題がなければ、レントゲン撮影・歯の型とり・口腔内の写真撮影・顔の写真撮影などの精密検査をおこないます。
2~3週間後に精密検査の結果を基に立案した治療方針の説明をおこない、現在の歯の状況と治療によってどのように治っていくのかを詳しく説明します。
そして、矯正装置を装着して治療を開始する1~2週間前に、前準備としてゴムリングの装着や抜歯が必要なケースでは抜歯もおこないますが、この前準備は各矯正歯科によって異なってきます。ここまでが、治療開始までにおこなう準備です。
治療中
いよいよ矯正治療がスタートしますが、治療自体は約2年半~3年と長い時間を要すこととなります。その間に必要な治療費は、基本治療費がおよそ90万円~110万円と、毎回の治療費が4,400円~6,600円ほど必要です。
具体的な矯正治療の内容についてですが、ここではブラケットタイプの治療を対象としています。
まずは矯正装置を装着します。装着の所要時間は個人差があり約2時間半が目安です。矯正装置を装着すると歯みがきが難しくなります。矯正治療中に虫歯ができると治療に影響が出てしまうので、歯みがきは重要なセルフ治療です。
矯正治療は時間をかけて歯を移動させる「動的治療」と呼ばれる治療法で、約2年半~3年の年月をかけておこなう治療です。その間は定期的に通院して、矯正装置の調整やゴム部分の交換をおこなうため、約4~6週間を目安に通院します。
治療完了後
矯正治療は当初に計画したとおりに、歯が移動してきれいな歯並びになれば矯正装置を外すこととなります。しかしこれで矯正治療が完了した訳でなく、保定期間として最低1年間、できれば2~3年の間、1か月半に1回のペースで定期的な通院が必要になります。
この間は保定装置を装着して、歯が元の位置に戻ろうとする力を防ぎます。保定期間に必要な治療費は、通院回数によって異なりますが1回の通院で4,400円~6,600円が目安です。
2:矯正歯科で中学生が治療する場合の注意点
矯正治療は治療期間がとても長い治療なので、中学生の間だけで完了しないケースがほとんどです。そうなると中学校における受験勉強や部活などに影響してしまうのではないかと不安になるでしょう。
ここでは、矯正歯科で中学生が治療する場合の注意点について解説します。
治療期間は2年ほど必要になる
矯正治療は最低でも2年間は必要になってきます。
矯正治療の痛みは独特で言葉で表現するなら「歯が浮いたような感覚」といえます。上下の歯が噛み合う際に鈍痛を覚える程度で、痛くて我慢できないほどではないのでご安心ください。痛みに弱い方には痛み止めも処方されます。
歯に力が常に加わっているので当然ながら違和感はありますが、1週間ほどで鈍痛や違和感もなくなってきます。治療中の食事制限はないので、普段通りの食事が可能です。ただし、慣れるまでは物を噛むと痛みを感じるケースもあるので、慣れるまではやわらかい食事がよいとされています。
部活動に影響を及ぼす可能性がある
野球部・バスケ部・バレー部・陸上部などでは、特に矯正装置が邪魔になることはないので問題ありません。
一方で吹奏楽部の場合で、サックスやトランペットなど管楽器の演奏時に、今までどおりの演奏ができないケースが見られます。
個人差もありますが、1~2か月ほど練習をすれば慣れるでしょう。もしも不安が取り除けないなら、治療中の歯科ドクターに相談することをおすすめします。
大人が矯正する際の費用と変わらない
ここで費用について再度の解説となりますが、中学生だから矯正治療が安くなる訳ではありません。中学生で矯正治療をはじめても大人になってはじめても、費用は全く同じです。
違いがあるとすれば、成長期である中学生時代に矯正治療を開始することで、治療期間を短くできるメリットがあります。
また、中学生のほうが時間に余裕があるので大人になってから治療を開始するよりも、スムーズな治療をおこなうことができます。つまり、矯正の費用は大人と変わらないけれどメリットは多くあることになるのです。
3:中学生が歯列矯正を始める最適なタイミングはいつ?
中学生が歯列矯正を始める最適なタイミングは、乳歯がすべて永久歯に変わった時です。乳歯が永久歯にすべて生え変わる時期は人によって個人差がありますが、11~12歳にはほとんどの方が永久歯に生え変わっています。
ただ中には、14歳ころまで乳歯が残っている人も見られるため、中学生であっても1年生、2年生ではまだ乳歯が残っている可能性もあります。
ところが、永久歯に生え変わる順番は奥歯が最後となるため、今の自分の奥歯が乳歯なのか永久歯なのか分からないケースが多くなっています。
もしも分からない場合は、矯正治療をおこなう予定の歯科を受診して確認してもらうことをおすすめします。
4:中学生が歯列矯正するメリットは?
中学生が歯列矯正するメリットは、大人と比較すると治療期間が短く済む点です。中学生はちょうど乳歯から永久歯にすべての歯が生え変わる時期ですが、顎を含む骨格全体は成長過程の最中です。
そのため、歯の周辺組織の新陳代謝も活発となり、歯が移動しやすく矯正治療に適した時期であるといえます。
そんな中学生の時期に歯列矯正をはじめれば、歯の移動がスムーズなので治療期間が短くなります。
また、中学生では親の事情などで転校しない限り、同じ矯正歯科に通院して治療を続けることが可能です。大人になって治療をはじめると、転勤や結婚などによって違う歯科に通院せざるを得ないケースもあります。
歯列矯正は最低2年、長ければ3年ほどの治療期間が必要で、その後も保定期間として最低でも1年の通院が必要になります。長期間となる治療だけに、スムーズな矯正をするためにも同じ歯科で治療をおこなうことが重要になってきます。
まとめ
矯正歯科で中学生が治療する場合の費用や注意点について、詳しく解説してきました。
矯正治療にて歯並びをよくするには2年以上の治療期間を必要です。成長期に矯正治療をおこなうと、歯の移動がスムーズになるメリットがあるため、矯正治療をはじめるなら中学生からがベストになっています。
ただし、矯正治療には100万円以上となる高額な費用も必要となるので、失敗しない歯科選びが重要です。一般的な歯科クリニックでなく矯正歯科を選べば、矯正治療が確実におこなえるので失敗がありません。