先日、大学病院で顎外科矯正治療をして治療結果に納得いかない方が相談に来院しました。
顎外科矯正とは、上顎、下顎を入院して手術して位置を変えたり形を変えたりする手術と矯正歯科治療を混合する治療を言います。
顎外科手術方法には多数のバリエーションがあり私たち矯正医がレントゲンを見ただけだと、どんな手術をしたのかまったく見当がつきません。
顎外科矯正の場合、一部の手術法や矯正法が保険適応となっていますが、当院で計画する外科法や矯正法はアメリカの最新の治療法なのですべて自費となります。
せっかく保険が使用できる日本人の患者様にとっては残念ですが、あまりにも最新の顎外科矯正治療法と保険の顎外科矯正治療法が懸け離れているため、保険適応の治療をしません。
しかし、多くの患者様が最新の顎外科治療を必要として治療を受けます。
さて、大学病院での顎外科矯正治療を受けた方ですが、
当院での相談時、それはもう大騒ぎでした。
不満な気持は分かりますが、私たち矯正歯科医だけでは顎外科矯正治療後のリカバー治療は不可能です。
患者様にとって一番良い選択は、
顎外科矯正治療をした口腔外科医と矯正歯科医とよく話し合い、
それでも納得いかない場合は資料を借りてセカンドオピニオンを受けることが大切です。
医科の治療ではごく普通の手続きです。
ではなぜ顎外科矯正治療後の患者様に矯正歯科医だけで対応できないかと言うと、
顎外科手術をすることにより今後の変化が予測できません。
どの骨をどちらの方向にどのくらい移動し、
その時軟組織にどのような処置をしたのか、
そして手術後から現在までどんな変化が起こっているか分からないとこれからの矯正治療計画が立てられません。
ただ現状の噛み合わせを見て矯正治療法をお話する矯正歯科医がいたとしたら、低レベルです。
再び患者様を悪夢へと導くことになります。